ニワノトリ

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ロッテリアなガキさんに萌える/神聖かまってちゃん「フロントメモリーfeat.川本真琴」MVの感想

巷で噂の神聖かまってちゃん「フロントメモリーfeat.川本真琴」のMV。

主演は我らがガキさん……こと、モーニング娘。OGの新垣里沙さんです。

 

 


神聖かまってちゃん「フロントメモリーfeat.川本真琴」 - YouTube


最初、ガキさんがかまってちゃんのMVに出るらしいという情報を聞いたときには、「ほんまかいな」と半信半疑でしたが、本当だった。

かまってちゃん×ガキさん……だと……!? 


ガキさんと言えば、どうしても「How Do You Like Japan?」で「くぁもんくぁもん、あ゛あ゛!」とステージ上でこれでもかと観客を巻き込み、盛り上げているイメージが強い。

10年間にわたり、つんく氏の作った「雨の降らない星では愛せないだろう」というような非常に「まっとうな」歌詞を歌い続け、「今日、楽しかった人――――!」と愛情たっ ぷりに叫んで娘。を卒業していったあのガキさんが、「友達なんていらない死ね」なかまってちゃんの世界観をどう表現しているのか。

「かまってちゃん×ガキさん」どころか、「かまってちゃん―ガキさん」「かまってちゃん÷ガキさん」になってやしないか……

などといらん心配をしてしまったのですが、トレーラー映像で「がんばろっかな今日は」とリップシンクしてるガキさんを見た段階で、それが「本当にいらん心配」であったことを思い知りました。

 

特にこれはいいMVになっているだろうと確信したのが、このショット。

 

 

ロッテリア×ガキさん

 

衣装に黄色と赤が使われているっていうのが大きいんですが(この画像では見えないんですが、スカートが赤色)、ロッテリアの前を歩くガキさんが、あまりにも街の風景によく馴染んでいて、ガキさんはこのMVに相応しい主人公を演じたんだろうなと、と期待値がとても上がりました。

 

3/20にトレーラー映像が公開されて、その6日後の3/26にフルMVが公開されたんですが、期待は裏切られなかったです。

どうしてもハロオタの色眼鏡ははずしようがないんですが(笑)、そういう贔屓目を差し引いても、よくできている作品だと思うし、ガキさんはいい仕事してると思います。

 

かまってちゃんのマネージャーさんのブログ

http://ameblo.jp/tsurugimikito/entry-11814030880.html

によれば、この曲をリップシンクで見せるには、歌の経験のある人じゃないとだめだということで、ガキさんに白羽の矢が立ったんだそうです。

 

確かに、特に屋上で歌っているガキさんには、10年間、毎年何十本ものライブをこなして来たガキさんならではの、ライブ感、スケールの大きさを感じます。

 

 

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ガンバレないよーガンバレないよーなガキさん

 

 

ガキさんのライブ感が素晴らしいのは、「フロントメモリー」の歌詞を、こんなに伸び伸びと歌っているところだと思います。

「屋上でまた崩れかけてる」とは思えないほどの生き生きしたこの感じ。

かまってちゃんにはそんなに詳しくないんですが、個人的に、かまってちゃんの曲には、「頭でっかち」というか、言葉と感情があふれて、先走って、先走り過ぎて血塗れになってる、みたいなイメージがあります。
しかし、ガキさんは、「いつまでも先に進めない」この歌詞を全身に響かせて、微笑みながら口ずさんでいる。

かまってちゃんの曲も、こんなに全身を使って、躍動感たっぷりに表現することができるんだ、と私はちょっと感動しました。

一方で、このガキさんにパフォーマンスには、ちゃんと、「きっついシューズがさ スリーポイント決めないでしょ」な閉塞感もあるんですよね。
ファンの贔屓目かもしれませんが、それは、アイドル、あるいは娘。という枠の中でパフォーマンスをして来たガキさんだから出せるものなのかなあと思います。
ガキさんは、「3ポイント決めないでしょ」で指を3にし、「駅降りて」という歌詞で何かから飛び降りるような振りをする。
そういう振付は、非常に分かりやすい反面、言葉に縛られているとも言える。
振りの「分かりやすさ」って盛り上がりやすさにもつながるので、「アイドルのライブ」という枠組みの中では、それでいいと思うんです。というか、それが望まれているんだと思う。
しかし、一方で、言葉をそのまま振りにするような振付が、果たして、新垣里沙という一人に人間の個の表現なのかというと……少し疑問は残る。

このMVにはそういう、表現の可能性をある枠組みの中に制限されているような、閉塞感も出ているのではないかと思います。(2014/10/12 加筆)


この、閉塞感と躍動感のバランス、絶妙です。

 

 

私が特に好きなのは、二番(?)で「田んぼで叫んだりして単純に」と歌っているガキさんです。

 

 

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田んぼで叫んだりして

 

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単純に

 

「叫んだりして」のところで、口に手を当てて叫ぶ振りをして、「単純に」のところで耳に手を当てるんですよね。

特に、「単純に」と大きく何度もうなずきながら、耳に手を当てているガキさんには、マイクを観客席に向けて、コールを求めているガキさんの姿が思い出されます。

 

ガキさんの同期であり、長らくモーニング娘。を引っ張っていたリーダー・高橋愛ちゃんが自分の世界を作り上げて、観客をぐっと引き込むタイプだったとしたら、サブリーダーたるガキさんは、自分を開いて行って、オタに語り掛けるようにしてパフォーマンスをする人だったと思うんです。

こ の「フロントメモリー」も、どこまでがガキさんが自分で振り付けてる(?)かよく分からないんですが、こうやって、耳をに手を当てて、聞き手の声を聞こう としている(ような)ガキさんを見ていると、ガキさんにとって、「歌」って言うのは一人で歌うものじゃないんだな、音楽を体中に響かせて、それを「みん な」と共有するのがガキさんなんだなーと感じます。

そして、聞き手と共鳴するようなガキさんのパフォーマンスは、「Say,Yeah!」と誰に向けられているのかもよく分からないままに何度も繰り返され、最後には「かもんべいべーYeah!Yeah!」と叫ばれる、「フロントメモリー」という曲に合っているのかなと思います。

 

 

「フロントメモリー」って、今日は「ガンバロっかな」と言ってみても、結局、「今日」は新しい始まりではなくて「昨日の続き」に過ぎなくて、バカみたいな繰り 返しの今日という日にすぐ頭が痛くなって、それでも、ガンバレないよーガンバレないよーって繰り返すことで、崩れそうな自分をなんとか支えてる、みたいな 曲だと思うんですよね。倒れもせず、立ち上がりもせず、ずっと中腰でとどまってる、みたいな。
かまってちゃんが自分で作って歌ったMVだと、作り手が感じている身を切るような生々しさが、すごく鋭角に表現されてしまう上に、いかにも中二として現れるので、スルーしてしまう人もたくさんいると思うんです。
こ のMVでは、ガキさんの身体がそういう中二感を一度受け止めた上で、全身に響かせているので、ガキさんのパフォーマンスが緩衝材となって、より多くの人に とって受け止めやすいものになり、彼らの「Say,Yeah!」という声がより広い範囲に届くようになっているのではないかという気がします(良くも悪く も?)。

ともあれ、かまってちゃんの歌詞を全身で受け止めて、表現しているガキさんは素晴らしいと共に、川本真琴のボーカルとともに、「フロントメモリー」という曲の新しい一面を見せてくれているのではないかと、そう思います。


しかし、こうやって、娘。OGたちの、娘。時代のパフォーマンスが、こうやって、ハローの枠外で芽を出しているのを見ると、何とも言えず嬉しい気分になりますね。
いい作品を見せてもらえて、すごく満たされました。




せっかくだからおすすめガキさん動画を貼っておこうと思います。


■"How do you like Japan? ~日本はどんな感じでっか"


Morning Musume - How Do You Like Japan? (Live ...



この曲の最初に「かもん かもん あ゛あ゛!」と言っているガキさんは、「フロントメモリー」で「かもんべいべー いえーいえー」と言っているガキさんの原型だと思う(主観です)。
こ の曲のガキさんには、それでも彼女は「アイドル」なんだ、っていう枠組のようなものを感じる。どんなにエキサイトしても、一定の枠は決して超えないってい う。閉塞感っていうと悪いように聞こえるんですけど、当時のモーニング娘。の、パフォーマンスと芸歴の厚みを重ねて行きながら、そこをギリギリ踏み越え (られ)ないところはすごく魅力的だったし、好きでした。


■"Happy Night"


モーニング娘 Happy Night Live - YouTube


身体全体で声を届けるガキさんと言ってイメージしてるのはこういうガキさんなんですが……「今夜あなた元気かい それじゃ聞こえないやいやいやー」って言ってるガキさんにちょっと哀愁を感じるのは「フロントメモリー」を聞いた後だからでしょうかね。
この曲はこんなに楽しい曲なのに「だけど」で始まるところが好きなんですけど、
つんく氏の歌詞は、そういう、悲しみを振り切るようにして楽しいことを歌うところがあると思うんですよね。
「晴 れの日があるからそのうち雨も降る」("I Wish")というような超「まっとうな」歌詞を書くつんく氏と「フロントメモリー」の歌詞はなかなか交差はしないと思うけど、「止まない雨はない」とい う言い方は決してしないところに、つんく氏ときっついサイズシューズが一瞬重なる部分もあるのかもしれないなーと思わないでもないです。
そんなつんく氏の曲をこんなに生き生きと観客たちに届けてきたのがガキさんなのです。

よく考えたら、ずっとつんくの曲を歌ってきたガキさん川本真琴の声でかまってちゃんの曲を歌ってるのって、何か面白いですね。

 

※この記事は http://n1watooor1.exblog.jp/ にて、2014/4/5に公開した文章を一部書き直したものです。

 

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