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ニワノトリ

ハロプロ、大森靖子さん、宇多田ヒカルさん、amazarashiなどのJ-popの楽曲レビュー・考察、ライブレポなどを書いているブログです。カテゴリ「このブログについて」に記事のまとめと更新情報があります。ご連絡はTwitter:@ok_take5、メール:tori.niwa.noあっとgmail.comまで(http://n1watooor1.exblog.jp/は愚痴用になりました)。

"I NEED YOU"について/Buono!@『I NEED YOU』の感想

 

大分前の話だけれど、Buono!の冬のライブの千秋楽に行ってきた。
マジ楽しかった。

特に印象に残った曲……はいっぱいあるんだけど、その一つが、ももちの "I NEED YOU"だった。
ももちの"カモン!"にしびれた。
だから、家帰ってからずっと"I NEED YOU"聞いてた。

Buono!には良曲がいっぱいあるけど、この"I NEED YOU"もその一つ。


この曲の良さは

「突然好きになった だけど突然嫌いになんてなれない」

この歌詞に凝縮されていると思う。

「突然好きになった」という、出会いの瞬間。
「突然嫌いになんてなれない」ほどに積み重ねられた、二人の時間。
なのに、二人に訪れてしまった別れの瞬間。
別れ別れで過ごして行かないといけない、これからの時間。

このサビの一行に、二人のこれまでとこれからが詰まっている。



“I NEED YOU”はサビに入るまでは、スローテンポで、曲調も振りもすごくかわいい。
サビの前で歌われるのは、これまで一緒だった二人の道が分かれてしまう、そんな瞬間の前に立ちすくむ女の子の姿だ(男の子かもしれないけど)。

女の子は、「君のいない」、「ほんとは(君に)二度と会えない」世界を前に、泣きたい気持ちをこらえている。
これまで、二人の時間は=二人の「今」の時間だった。
だけど、明日からは、二人が過ごした時間は過去のものになってしまう。
「忘れるなんてムリだけど 思い出にもしたくない」、という歌詞には二人の時間が「過去」の出来事になることを拒もうとする女の子の心情が表れている。


しかし、“I NEED YOU”は、そうした、いじらしい歌詞の後に、突然リズムが上がり、


「I NEED YOU 突然、好きになった。だけど突然、嫌いになんてなれない」

という叫ぶような曲調に変わる。


ここで一気にリズムが上がるのには、別れのその瞬間に、これまでの記憶とかこれからの寂しさが一気に交差して切なさが爆発する様子が表れているんだと思う。
泣くのを堪え、感情を抑えて、別れの感傷に浸っていた女の子が、「そんなの嫌だ!」って叫び出す。叫びながらも、別れという事実だけは引き受けようとしている。

ここで、女の子の身を切るような切なさは、ただ切ないだけじゃない苦しさ、狂おしさに変わる。


ただ切ないだけじゃなくて、その裏で爆発する熱い感情(でもその爆発すらかわいい)も表現できるのは、ロックアイドルBuono!ならではなんじゃないかと思う。

こ の曲が凄いのは、二人がどんなデートをしてどんな出会い方をしてどんな付き合い方をして来たのかは一切歌われていないのに、別れに対峙する女の子の心情を 描写するだけで、二人の間に流れた時間の厚みを感じさせるところだ。「突然好きになった」という物語の始まりと、「突然嫌いになんてなれない」という、物 語の終わり損ねている様を一行に並べた歌詞は本当に秀逸。



そして、この曲は、この曲をBuono!というアイドルが歌っていることによって、更に切なさを増す。(と私は思っている)

というのも、上で二人の物語は「終わり損ねている」というように書いたけれど、須らく、物語というものは「始まり」「過程」「終わり」の三つの要素で成り立っている。
こ の曲はタイトルからして「I NEED YOU」であるので、少なくとも、この曲の中の女の子は、未だ「二人の物語」を終わらせられていない。「君がどこかにいるだけで 私なら頑張っていける」 「いつまでも大好き 君がいてもいなくてもずっと」という女の子は、まだ「二人の物語」の中にいるし、その物語を終わらせる気もない。

し かし、現実問題として、そうした「私はあなたのことがずっと好き」などという気持ちは一瞬で終わる。自分の人生が終わってしまうんじゃないかというような 大きな悲しみも君を失った苦しみも、いつかはただの人生の1ページになって、失われてしまう。二人の道が別れた後も、女の子の人生は続いて行くのである し。
人生や青春というのは往々にしてそのようなものだ。
この曲が聞き手に喚起する切なさや苦しさは、そうした、若い頃の純粋な「あなたがずっと好き!」という気持ちがいつかは失われてしまうことを知っている、だけど、確かにそういう瞬間があったことも知っている、そうした聞き手の郷愁にも由来しているんだろうと思う。

アイドルは存在そのものが刹那的だし、どんなにいい曲を歌ったって、カテゴリーは「アイドルソング」の中から抜け出せない。
だから、この曲の「失われたもの」に対する切なさは、Buono!が歌うことによってもっと切なくなる。
あの時の私にとっては、大事件だったのに、振り返ってみれば思い出はこんなにも軽く見えてしまう!


Buono!はそういう曲多いと思うし、そういうところが凄く好き。
Buono!は「ロック」アイドルであることによって、そうした軽さを突破してしまうような、エネルギーも秘めていそうで、そういうところも更に好き。
この “I NEED YOU”という曲のように、Buono!には軽薄さと厚みが同居している、そんな面白さがあると思う。

今度のライブも絶対行きたい! その前に冬紺のDVDは絶対に買わねば……! 


※この記事は、

http://n1watooor1.exblog.jp/14958561/ にて、2012/3/31に公開したものです。

 

 

 

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