ニワノトリ

ハロプロ、大森靖子さん、宇多田ヒカルさん、amazarashiなどのJ-popの楽曲レビュー・考察、ライブレポなどを書いているブログです。カテゴリ「このブログについて」に記事のまとめと更新情報があります。ご連絡はTwitter:@ok_take5、メール:tori.niwa.noあっとgmail.comまで(http://n1watooor1.exblog.jp/は愚痴用になりました)。

一人で行ったBarbate Rock 5th Anniversary ~Hign Mirage~ /大森靖子さんのライブの感想文です。

2016年5月29日(日)にZepp DiverCity TOKYO で行われた、大森靖子、Gotch、SPECIAL OTHERSモーモールルギャバンの4マンライブBarbate Rock 5th Anniversary ~Hign Mirage~に行ってきました。

 

www.creativeman.co.jp

 

出順は、
1.モーモールルギャバン
2.Gotch
3.大森さん
4.SPECIAL OTHERS

モーモールルギャバンでテンション上げて、Gotchでまったり心を落ち着けて、大森さんでもう一回テンション上げて、SPECIAL OTHERSでクールダウンして帰るという感じで、客としては非常に盛り上がりやすく、疲れにくい出順になっておりました。

 

4組とも良かったけど、私は大森靖子さんのファンなので、この記事には大森さんのステージの感想を書きます。

 

 

1曲目.呪いは水色

転換が終わり、SEが終わって、会場が暗くなると、ついに大森さんの出番。

さっそく大森靖子バンドがステージに登場……はせず、その前にワンクッション、 "オープニング"が用意されていた。

誰もいない真っ暗なステージに、水面に映る街灯みたいにまだらな照明が浮かび上がって、オルゴールの音が聞こえてくる。オルゴールの音に紛れて聞こえてくるドクドクという心臓音。カウントダウンするみたいに心臓音が大きくなり、破裂するような赤ん坊の泣き声、同時にステージ上の照明が強くなる。

生命の誕生を想起させる、そして、2月に赤坂BLITZで行われた、大森さんの出産後初ワンマンライブ "HELLO WORLD!MYNO. IS ZERO" を思い起こさせるオープニングである。

 

オープニングの終了と共に、メンバーがステージに上がり、それを会場は拍手で迎える。
ライブというより、お芝居が始まる時みたいな感じの始まりですね。
拍手が収まっても、すぐにステージは始まらない。大森さんはギターを構え、ゆっくりと会場を見回す。
会場は物音ひとつさせずに大森さんの一挙一動を見つめている。
無音の中で、これから始まるんだという緊張が高まって行く。
ステージの上の大森さんがピンク色のピックで僅かにギターを弾いて、その音で、「あ、一曲目は呪いは水色だな」ってわかる。

 

私は、場所で言うと、会場真ん中左寄り、最前……の真後ろ、二列目あたりに立っていたのだけれど、私の隣には大森靖子死ねTシャツを着た黒髪のお兄さん(あるいはおっさん)が立っていた。
彼は私より背が高かったので、私がステージを見上げると必然的に彼の横顔も目に入る。隣のお兄さんは大森さんがギターを鳴らした瞬間に、細長い体を目いっぱい乗り出し、大森さんがマイクに口を近づけ、息を吸い込む音が聞こえたところで、動きをぴたりと止めた。

 

「あと少し そ」

 

それくらいのタイミング。彼は歌い出し数文字でさっそく号泣を始めた。
「早くね、スタートダッシュ早くね!?」とビビらざるを得ない私は、正直、ステージよりお兄さんが気になって仕方がなかった。彼がものすごい速度でステージに入り込んでいくので、私はすっかり置いてけぼりをくらってしまった。

大森さんは、「私は自分のライブの空間が一番好きで、そこに来たお客さんの顔を見るのが好きなんです。みんなそれぞれぐちゃぐちゃなんですよ。それぞれの人生観を出してくれているっていうか。 」って言ってたけど、確かに、大森さんの現場では、ステージはもとより、自分の隣で大森さんに聞き入るお客さんの、思いの入れ方に圧倒されることがある。

今回の「呪いは水色」はまさしくそれだった。

 

 

 

2曲目.マジックミラー

ローテンポの「呪いは水色」から、大森さんの看板曲と言っても過言ではない「マジックミラー」へ。

サビに向かって、猛スピードでテンションをあげて行く歌と演奏は、「お前らこっちを見ろ」と言わんばかりで、さっきまで隣のお兄さんにビビッていた私も、あっという間にステージの上の音楽に呑み込まれてしまった。

圧巻は、一番のサビ。
サビに入る直前、大森さんはさっきまでかき鳴らしていたギターを背中にぐるりと回して、両手を前に出しながら

 

あたしのゆめは
君が蹴散らした ブサイクでボロボロのLIFEを
掻き集めて大きな鏡をつくること
君がつくった美しい世界をみせてあげる

 

と歌った。
大森さんは、「君の蹴散らした」のところで、観客の顔を素早く、一つずつ、指さしていく。そんな大森さんの背中を押すように、バンドが大音量で音楽をかき鳴らしている。
この時、大森さんは確かにバンドを背負っていて、大森靖子という一人の人間が、その何倍も大きく見えた。
大森靖子は弾き語りの方がいい」という話も聞くけれど、両手を空けて、バンドを背負って、大音量の音楽でないと、表現できないもの、届けられないものって確かにあるんだなって、思った。

 

ところで、サビの「ミラー マジックミラー」のところで、隣のお兄さんと並んで、いつもの振り付け(両手の親指と人差し指を使って、四角を作るやつ)をやってたら、前にいた女の子二人組がこちらを振り返って「そんなことやるんだ」みたいな顔をしていた。

ごめんねびっくりさせてって思った。だけど、やめらんなかったです。ごめんね……。

 

 

3曲目.「ミッドナイト清純異性交遊」

続いて、メジャーデビュー前の名曲、「ミッドナイト清純異性交遊」。

この日まで、ハロヲタの私にとって、これは、まごうことなく、道重さゆみの曲だった。ヲタとさゆの関係性を歌った曲だった。
だけど、この日に聞いた「ミッドナイト清純異性交遊」は、もう私の知っている「ミッドナイト清純異性交遊」ではなかった。

 

アンダーグラウンドから 君の指まで 遠くはないのさ

 

この曲でも、「君」という言葉を歌いながら、大森さんは、会場の一人ひとりを指さしてみせた。
もはや「君」は "ステージの上の彼女"のことではなくて、ステージの下にいる「君」のことを指している。
大森さんはすでに完全にメジャーのステージの上に立っていて、ステージの上でできることしかやってなかった。
私、こんな大森靖子知らない……!って思ったし、もう、大森靖子の変化の速さにとにかく痺れた。

 

ところで、この曲でも、隣のお兄さん……っていうか、周辺にいる大森靖子界隈の方と、ロミオとかPPPHとかしてたら、前の女の子たちがぎょっとしたような顔をしていた。

ごめんね驚かせて(でもやっぱりやめられない)。

 

 

4曲目.絶対彼女

「ミッドナイト清純異性交遊」も収録されているアルバム『絶対少女』から、もう一曲.

ハロプロのライブに行くと、もう、ひたすら「あの曲の時のあの子の表情が……!」みたいな、ステージの上のことだけを話したくなるんだけど、大森さんのライブは、ステージの上のことはもちろん、私の周りにいたお客さんの話もしたくなるし、その曲を聞きながら感じた、私自身の個人的な話もしたくなる。

「絶対彼女」は個人的な話をしたくなる曲だ。

私にとってはとても個人的な歌。私が初めて聞いた大森靖子の曲で、私はこの曲がなければ多分大森さんを好きになっていなかった。初めて「絶対彼女」を聞いた時の衝撃はよく覚えているけれど、あれから二年。私も私なりに色々変わったので、最近、私は、もう、初めて聞いた時のようには「絶対彼女」を聞けなくなっているなと、思うようになっていた。

だけど、この日聞いた「絶対彼女」には私が初めて「絶対彼女」を聞いた時のことを思い起こさせられて、あの日、「絶対彼女」を聞きながら思い出した風景とか感情とかが、ぶわって蘇ってきた。
でも、単に蘇ったんじゃない。蘇るというより、むしろ、二年前、「絶対彼女」を聞いてビビった私と、「もうあの頃には戻れない」的センチメンタルを抱えていた私が結びついて、私はどうしたって私なんだから仕方ない的な、私自身の継続性みたいなものを実感させられてしまったという感じがあった。

何で、その日の「絶対彼女」が、初めて聞いた時の感触を呼び起こしてくれたのかよく分からないんだけど、多分、「ミッドナイト」が昔とは違うみたいに、「絶対彼女」も、昔と同じようには聞けないくらい進化してきているんだと思う。

「初体験」って、とっても特別なのかもしれないけれど、「初めて」の特別さなんて、目の前で、今、やってるライブの特別さには適わないし、あっという間に上書きされちゃうんだっていうことに気付いた一曲だった。

 

やっぱり、この曲でも、「絶対彼女」の振り付けはやったし、「女子」「おっさん」で「絶対彼女」コールをやった(この日の対バン相手、モーモールーギャバンさんにちなんだ「パンティ」コールもやった)んだけど、この曲では目の前の女の子たちはあんまり振り返らなかった。だから、女の子たちが「女子!」のところで、口ずさんでいたかどうかは分からない。

 

 

5曲目.新宿

きゃりーぱみゅぱみゅ」の歌い出しもばっちりで、「新宿」はとにかくアッパーだった。

 

生活保護で端から端まで三つ編みをした女と遊んで

 

と歌いながら、大森さんは、ステージを端から端まで裸足で走り回る。ステージを大きく使ってくれるから、端の客にも大森さんが良く見える。

 

あの街にうずくまる 才能がなかったから

 

のところのバンドの演奏と大森さんの歌い方がヒステリックなくらいキンキンしていて、脳を引っ掻かれるみたいに気持ちいい。
私はステージの左の方にいたから、アウトロで、ギターの畠山さんが大森さんと頭を押し付け合いながら演奏をするのが良く見えたのだけれど、本当に畠山さんのパーマが潰れちゃうんじゃないかってくらいに強く頭を押し付け合っていて、見ているだけでテンションがぐんぐん上がって行ってしまった。

 

 

6曲目.TOKYO BLACK HOLE

ニューアルバム、「TOKYO BLACK HOLE」の表題曲。
つい数週間前まで、「TOKYO BLACK HOLE」って、ずっと「あー分かる分かる」「これ、オレの曲や!」って思いながら聞いていたんだけど、改めてライブで聞いたら、そんな簡単に分かるもんじゃないってことが分かってしまった。
今でもよく分からない。

 

 

7曲目.音楽を捨てよ、そして音楽へ

4曲目くらいまで、この感想文に登場していた隣のお兄さんと前の女の子たちですが、5曲目くらいから登場しなくなったのは、もう、周りが目に入らないくらいも気にならないくらいステージに見入っていたからです。

でも、ラストのこの曲の時は、ふと、視野が広くなって、前の女の子たちがじーっとステージを見つめている姿が目に入ってきました。
先般の反応からして、女の子たちが大森さんを見るのは初めてに近いんじゃないかと思うんですが、やっぱり、こんなに間近で「音楽は魔法ではない」をされると、見入らざるをえないよなあと思い、女の子たちの背中を見ながら、「あ、やっぱり、このステージすごいよな、うん」と再確認させてもらう気分でした。

会場中に響く「音楽は魔法ではない」を聞きながら、一番前で見る大森靖子のステージが圧巻なんてもはや当たり前で、できれば、いつか、武道館の天井席から、大森靖子のステージをじーっと見つめてみたいと、思った。
こんなに良いステージをしてくれるのだから、もっともっともっと売れて欲しい。

 

 

以上。もう、とにかく「こんな前で見られるの、もったいない。もっと売れて欲しい、こんな前で見られない場所に行ってほしい」って思うような、ライブでした。

行ってよかった! 現場からの感想は以上です!

 

niwanotori.hatenablog.com

 

niwanotori.hatenablog.com